ポケスペSV編第8話を読んで(イチバン24年6月号)

ネタバレ注意!

この記事には執筆時点(24/04/26)での、コミックス通巻版および、先行版未収録の内容を含みます。

 

その涙のわけは何

 

泣いてる〜!と言っても、王子(バイオレット・ラング)やレッティ(スカーレット・コイト)のことではありません。「なげやりのキマワリ」の前で、レッティと出会ったあの人のことです。わずかな尺ではありますが、ふたりのやりとりに私はドキドキ、ヒリヒリでした!

 

どうして涙を流していたのか…が語られるのは次の話でしょうから、今のうちにこのシーンについて考えてみたいのです。

 

表情なんかを見る限り、あの人が感激していたのはたぶんそう。では、レッティとの会話のどこにツボがあったのかということなんですが、私は主にふたつあったんじゃないかなあと思います。

 

レッティは長い時間「なげやりのキマワリ」を見ていましたし、声をかけてみれば、作品への思索のみならず、自らに起きた気持ちの変化にも思索を巡らせていたことを、彼女は教えてくれました。これだけ熱心に見てくれるということ自体、心を打つものだったでしょう。それはもう、涙を流すほどに。

 

そして、レッティの語った内容について。すでにアカデミーで美術の授業を履修された方は気づいたことと思いますが、彼女が語った印象は「なげやりのキマワリ」の製作者であるコルサが、作品に込めた意図とも重なるものでした。それが嬉しかったというのもあるような気がします。

 

私はここがドキドキ、そしてヒリヒリしたところでした。この会話で何が起きているのだろう?

 

今のところ、レッティがアカデミーで美術の授業を受けたとはちょっと考えづらいので、あらかじめ"正解"は知らなかったはずです。ですので彼女が語ったことは、あの場で感じたことだと思うんです。それが、製作者のコルサの意図ととても近いものであった(もしかしてふたりは似た者どうし?)。

 

この話を聞いたあの人はもう大感激で、もうなんでも喋ってくれそうな勢いです。たとえば、災いの宝の情報を持っていれば、それが良くないものだったとしても、は言い過ぎかもしれませんが、まあすごく喜んでいる様子です。

 

レッティがそうなることを狙って言ったかどうかは、これまでの彼女を見ているとそうは思えない。思えない…んですけど、まだ彼女のことが私にはよく分からない。だから、これはただの私の願望かもしれません。

 

ですが、今話はより彼女の人となりについて触れる機会がありました。

 

今話序盤でのレッティとネモのやりとりから、私はレッティに対して、嘘を言わない人なのかなという印象がより強くなりました。彼女は懇切丁寧な口調ではないけれど、何を感じて、何が起こったのかを端的に口にします。これは「なげやりのキマワリ」に対してもそうでした。もしくは、隠すものはないのだと言わんばかりに。

 

そんな調子ですし、そもそも愛想はまったくないレッティですが、ネモが弱っていると見捨てたりせず、介抱はしないまでも対処のすべを教えてくれたりします。このシーンのタマンチュラ、身振りが可愛い。彼女が連れているタマンチュラ、感情表現が豊かです。

 

1つ目のジムテストの時もそうでしたが、レッティには手段を選ばない節がある一方で、彼女なりに筋の通った振る舞いをしているように見えます。自らを無頼の徒と言ってのける彼女のことですから、きっと信用されるかどうかは重要なことで、振る舞いに筋を通すのはそんな環境に身を置いているからなのかな、なんて思ったりします。

 

ま、アウトサイダーは信用を大事にするだなんて、私のいかにもなイメージでしかありませんけども。

 

それはさておいて。そんな筋を通すレッティだからか、彼女の振る舞いにいや〜な感じはしないんです。情報を求めて誰かとやりとりするときにも、慎重さはあれど(これは自衛として当然)、相手を自分の意のままにしてやろうとか、そういう感じはないように思っていました。

 

だから、「なげやりのキマワリ」の前でレッティがあの人に語ったことは、ただ聞かれたから答えただけ、ということだと思うんです。たとえば、彼女は1つ目のジムでもそうでしたが、ジムリーダーの素性についてはあまり興味がなさそうでしたし。

 

とはいえ、彼女には「なげやりのキマワリ」を解読してしまえるような感性の鋭さがあって、片や一方でその感性ゆえに、これから災いの宝へと近づいていくことになるのかもしれません。

 

しかし、今話では出会った人を(たぶん)大感激させてもいるわけで、その道中で何が起きるかはやっぱり未知数で、ドキドキです。それに、いま私がレッティに思っていることは、まったくの見当違いかもしれない。繰り返しになりますが、まだまだ彼女がどんな人なのかは、ちょっとだけ出てきたところだと思います。

 

なので私はそこにネモがいるということに、すごく惹きつけられているんです。きっとこれから王子やペパーに会うこともあるのでしょう、各々がどんな一面を見せてくれるか、楽しみです!

 

そろそろ感想を締めようと思います。しかしちゃんと締まっているだろうか、あまり自信がありません(結局ヌシポケモン戦の感想は全然書きませんでしたね)。読んでくださって、ありがとうございました。

 

↓前話の感想はこちらから。

yomaon.hatenablog.com

 

ざっかん

  • (ついったでもつぶやいたけど)レッティはニャオハ以外のてもちの名前を呼ばないのはどうしてなんだろう?
  • ネモの周りを巻き込んで引っ張っていく勢い、ほんとネモい。